「超」音楽対談 オーケストラに未来はあるか ◇ゆうパケット発送可
「超」音楽対談 オーケストラに未来はあるか ◇ゆうパケット発送可
販売価格: 2,000円(税別)
(税込: 2,200円)
在庫数 1点
商品詳細
■浦久 俊彦(著)、山田 和樹(著)
■発行:アルテスパブリッシング
■四六判456ページ
■初版:2021年9月20日
■内容紹介
山田 今日もすぐ終わりますよ。「オーケストラに未来はあるか?」「ない!」で終わり(会場爆笑)。
浦久 そういわれてしまうと、もう身もフタもない(笑)。
〜〜〜〜〜
浦久 指揮者から見た理想のオーケストラとは?
山田 自分のイメージというか、アイディアを具現化してくれるオーケストラが、理想のオーケストラということになると思うんですよ、ふつうはね。
浦久 では、そのイメージを持っていない指揮者の場合はどうなるのかな?
山田 ほらきた(会場笑)。
〜〜〜〜〜
山田 観客のみなさんがちょっとかわいそうって思うこともある。
浦久 緊張感を強いられて?
山田 指揮者が棒を下ろすまで拍手はするなとか。あれ、やめてほしいですね。だからぼくは、あえて指揮棒をずっと上げておこうかなって(会場笑)。
〜〜〜〜〜
浦久 日本では、みんなで歌って踊って、わいわいいう音楽のほうが、はるかに長い歴史を持っていた。
山田 なるほど。日本人は劇場から飛び出して、盆踊りをしよう(笑)と。
〜〜〜〜〜
日欧の文化を知悉し、コンサートプロデュースや文筆でユニークな活動を続ける文化芸術プロデューサー・浦久俊彦と、現在もっとも多忙な音楽家のひとりとして世界中を飛びまわりながら、日本の音楽界にラディカルな問いを投げかける指揮者・山田和樹が、「クラシック音楽の明日」についてガチンコ対談。
山田が実演家として現場的・実践的疑問を提示すれば、浦久が古代から現代までの音楽思想や人文科学の知識を総動員してガチで答え、浦久が大風呂敷の「音楽文化改革案」を提示すれば、山田がカリスマ指揮者の余裕で全肯定!
抱腹絶倒の対話は、コロナ禍にあえぐクラシック音楽界への福音となるのか!?
2019年4月と2020年2月に代官山ヒルサイドテラスでおこなわれた4日間の対談と、その後コロナ禍のなか2020年5月に「朝カルオンライン」でおこなわれた特別対談を完全収録。
■目次
はじめに(山田和樹)
第1日
宇宙は指揮できるか
ふたりの出会いのことなど、やや長いまえおき
この対談のルールについて
宇宙は指揮できるか?
指揮が先か? 音楽が先か?
電気ノイズのない音世界
ホールとプロデューサー不在の問題
宇宙の音楽はどこにあるのか?
数の世界と、数字という言語
虹を指揮してみる
指揮者は、空気を読む仕事?
リベラルアーツと数の問題
音楽史の噓とハーモニーの謎
自然界には「直線」がない?
音楽のなかの時間 音楽の外にある時間
指揮者が生きる時間
観客がかわいそう?
参加者からの質問 対談の終わりに
音と色を考えてみる
オーケストラの響きが、人の声に聞こえるとき
第2日
オーケストラに未来はあるか
オーケストラはどこへ行く?
音楽とは何か?に向き合うことについて
軍事制度としてのオーケストラ
西洋の時間 日本の時間
雅楽にオーケストラの未来を見る?
山田和樹の見た海外のオーケストラ
指揮者とオーケストラの微妙な関係
オーケストラは、社会の縮図?
山田和樹、日本のオーケストラを語る
山田和樹とスイス・ロマンド管弦楽団
オーケストラの感動率とヘタウマの微妙な関係?
うまいオーケストラ ヘタなオーケストラ
感動する演奏とは?という深〜い話
演奏会の空気が重すぎる?
エンタテインメントとしてのオーケストラ
歴史から読み解く、オーケストラ文化
権力としてのオーケストラ
指揮者は、海賊船の船長?
バロックという浪費の時代とフランス革命の功罪
革命期の混乱と、貴族的価値観の喪失
オーケストラは世紀の楽器?
日本のオーケストラは、日本の文化になったのか?
クラシック音楽は、いつからエラくなったのか?
山田和樹、怒りの大学生時代を語る
西洋人のハーモニーと日本人のハーモニー
クラシック音楽がガラパゴス化する日
参加者からの質問 対談の終わりに
第3日
プロか? アマか? 生き残るのはどっちだ?
キャッシュレス時代とクラシック音楽
文化としてのクラシック音楽を守るのは、誰だ?
プロフェッショナルとアマチュアリズムの違いを考える
天才がいっぱい? 合唱団がいっぱい?
佐村河内守『交響曲第一番』に、もういちど向き合ってみる
「佐村河内事件」は日本クラシック業界のタブーか?
作曲家たちと反宗教の深〜い闇?
バッハは革命家だった?
アマチュアがプロよりも「生き残れる」方法?
オーケストラは「公共財」なのか?
音楽をやって生きていくということ
AI時代のプロとアマチュアは、どうなる?
加速するAIを止められるか?
ドイツ精神と国民性について
ドイツ絶対音楽とプロ&アマチュアの誕生
ふたたび「プロとアマチュア」を考える
「本業」と「道楽」の時代よ、ふたたび!
山田と浦久の凸凹コンビ南の島に行く?
参加者からの質問1 プロらしさとは何か?
参加者からの質問2 ふたつのドイツについて
ふたつのドイツ
オーケストラの気質について
第4日
理想のオーケストラとは?
いきなりシリアスな組織論?
社会の縮図としてのオーケストラ
理想のオーケストラというテーマについて
ストレスが芸術を育むということ
クレモナの名器と樹木のストレス
プロとアマチュア 音楽の理想はどこにある?
音楽に命をかけるということ
芸術家に明日があってはいけない
指揮者、山田和樹の原点
「最低のオーケストラ」とは?
指揮者は、なぜ「マエストロ」と呼ばれるのか?
オーケストラと「家族」になる
あえて、みんなを「怒らせる」
オーケストラにストレスをかける方法とは?
「余白を残す」ということ
理想の観客とは?
観客が演奏に参加するということ
演奏者も客席とコンタクトしたい!
観客の存在があるから、音楽ができる
指揮者は演奏事故にどう向き合うのか?
次回のテーマは「資本主義とオーケストラ」に決定?
オーケストラ・モデルの視点をずらしてみる
オーケストラという「システム」
特別編
コロナ後の文化・芸術 凸凹論
ふたりの出会いのことなど、やや長いまえおき
問題はコロナ後なのか? それともコロナ前なのか?
劇場が消えてなくなる日
音楽文化は「不要不急」なのか?
コロナ時代の文化はどうあるべきか?
なぜ、いま文化が必要なのか?という問いに向き合う
「文化」の意味を、あらためて考えてみる
「芸術」は日本語ではない?
日本語ではない翻訳語たち
人間がアートだ!
芸術家は職業なのか?
芸術ははたして公共財なのか?
アートとしての芸術と、文化としての芸術
自然は人間より偉いのか? 人間が支配すべきものか?
「芸術」は「アート」の訳語ではない?
「アートとしての芸術」とは?
「文化としての芸術」とは?
西洋文化を知ることは、日本文化を知ることでもある
マスク社会は音楽を殺す?
山田和樹が語る「文化」と「芸術」とは?
おわりに(浦久俊彦)
■前書きなど
はじめに(山田和樹)
この本には、私と浦久俊彦さんとの4回にわたる東京・代官山での対談と、朝日カルチャーセンター主催のトークセッションの内容が収められています。
そもそも、この対談は私のほうから提案したものでした。浦久さんの著書『138億年の音楽史』に尋常ではない感銘を受けた私は、なんとか浦久さんとお会いする縁をたぐり寄せ、少しでも多く浦久さんのお話を聞いていたいと強く思うようになりました。しかしながら、日本滞在中は仕事に忙殺されてしまうことが多く、浦久さんとの時間を思いきって確保するには、公開対談を開催するのがいちばん良いのではないかと思い至り、浦久さんにご提案したのでした。
そのため、この本を読み始めるとすぐにわかるように、いちおう「対談」という形式にはなっているものの、じっさいには私が聞き役となって浦久さんの圧倒的な教養に裏打ちされた多岐にわたるお話をうかがっているという内容になっています。
なるべくじっさいの対談の雰囲気がそのまま伝わればと思い、編集に当たっては、その場のライヴならではのやりとりをできるだけ残すようにしています。
われながら、プロフェッショナルな音楽家なのにこんなことも知らないのかと呆れる部分もあったりするのですが、知らないことを知らないという勇気こそ、浦久さんに教えていただいた大切なことです。
4回目の対談は2020年2月におこなわれましたが、ちょうどコロナの忍び寄る足音が聞こえてくるかどうかという頃でした。ですから、対談の中身としては、コロナ禍の状況を前提にしているわけではまったくないのですが、読み返してみると、コロナ禍だからこそより生きてくる内容になっていることに驚かされました。平時であるか非常時であるかを超えて、普遍的な音楽談義ができたことを心からうれしく思っています。
「オーケストラに未来はあるか?」という問いに対し、冗談半分に「ない!」と即答するところからその日の対談が始まっていたりしますが、ただただ謙虚になって日本の音楽界、文化全般にわたって今一度見つめ直して考えてみたいという素直な気持ちが底辺にあります。もちろん、この本の中で大きな結論に至ることもなく、多くの問いは今後も考え続けていくべきものです。その考え続けていくときに、なるべく多くの方と一緒に考えていきたい、議論を深めていきたいという想いがこの本の出版というかたちに結実することになりました。
この本を改めて眺めている今、浦久さんの「みんなで考えていこう」という姿勢こそが文化の根本にあるべきなのだろうと強く思っているところです。
この本をとおして、さまざまなヒントを秘めている「音楽」に、ひとりでも多くの方とともに向き合っていければと思います。
■著者プロフィール
浦久 俊彦(ウラヒサ トシヒコ)(著)
1961年生まれ。文筆家・文化芸術プロデューサー。一般財団法人欧州日本藝術財団代表理事。代官山未来音楽塾塾頭。サラマンカホール音楽監督。フランスを拠点に作曲、音楽研究活動に携わったのち帰国。三井住友海上しらかわホールのエグゼクティブ・ディレクターを経て、現在、浦久俊彦事務所代表。多彩なアーティストのオリジナル企画を手がけるほか、文化芸術のナビゲーターとしても全国で活躍している。著書に『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』『138億年の音楽史』『ベートーヴェンと日本人』など。2021年、サラマンカホール音楽監督としての企画で、サントリー芸術財団第20回佐治敬三賞を受賞した。
山田 和樹(ヤマダ カズキ)(著)
1979年生まれ。指揮者。東京藝術大学音楽学部指揮科卒業。指揮法を小林研一郎、松尾葉子に師事。2009年、第51回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。2016/17シーズンから、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、2018/19シーズンからバーミンガム市交響楽団の首席客演指揮者に就任。2012年から2017年までスイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者を務めた。日本では、日本フィルハーモニー交響楽団正指揮者、読売日本交響楽団首席客演指揮者、東京混声合唱団音楽監督兼理事長、学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督としても活動している。
◆参照元 版元ドットコム
◆登録番号 PTB0235
■発行:アルテスパブリッシング
■四六判456ページ
■初版:2021年9月20日
■内容紹介
山田 今日もすぐ終わりますよ。「オーケストラに未来はあるか?」「ない!」で終わり(会場爆笑)。
浦久 そういわれてしまうと、もう身もフタもない(笑)。
〜〜〜〜〜
浦久 指揮者から見た理想のオーケストラとは?
山田 自分のイメージというか、アイディアを具現化してくれるオーケストラが、理想のオーケストラということになると思うんですよ、ふつうはね。
浦久 では、そのイメージを持っていない指揮者の場合はどうなるのかな?
山田 ほらきた(会場笑)。
〜〜〜〜〜
山田 観客のみなさんがちょっとかわいそうって思うこともある。
浦久 緊張感を強いられて?
山田 指揮者が棒を下ろすまで拍手はするなとか。あれ、やめてほしいですね。だからぼくは、あえて指揮棒をずっと上げておこうかなって(会場笑)。
〜〜〜〜〜
浦久 日本では、みんなで歌って踊って、わいわいいう音楽のほうが、はるかに長い歴史を持っていた。
山田 なるほど。日本人は劇場から飛び出して、盆踊りをしよう(笑)と。
〜〜〜〜〜
日欧の文化を知悉し、コンサートプロデュースや文筆でユニークな活動を続ける文化芸術プロデューサー・浦久俊彦と、現在もっとも多忙な音楽家のひとりとして世界中を飛びまわりながら、日本の音楽界にラディカルな問いを投げかける指揮者・山田和樹が、「クラシック音楽の明日」についてガチンコ対談。
山田が実演家として現場的・実践的疑問を提示すれば、浦久が古代から現代までの音楽思想や人文科学の知識を総動員してガチで答え、浦久が大風呂敷の「音楽文化改革案」を提示すれば、山田がカリスマ指揮者の余裕で全肯定!
抱腹絶倒の対話は、コロナ禍にあえぐクラシック音楽界への福音となるのか!?
2019年4月と2020年2月に代官山ヒルサイドテラスでおこなわれた4日間の対談と、その後コロナ禍のなか2020年5月に「朝カルオンライン」でおこなわれた特別対談を完全収録。
■目次
はじめに(山田和樹)
第1日
宇宙は指揮できるか
ふたりの出会いのことなど、やや長いまえおき
この対談のルールについて
宇宙は指揮できるか?
指揮が先か? 音楽が先か?
電気ノイズのない音世界
ホールとプロデューサー不在の問題
宇宙の音楽はどこにあるのか?
数の世界と、数字という言語
虹を指揮してみる
指揮者は、空気を読む仕事?
リベラルアーツと数の問題
音楽史の噓とハーモニーの謎
自然界には「直線」がない?
音楽のなかの時間 音楽の外にある時間
指揮者が生きる時間
観客がかわいそう?
参加者からの質問 対談の終わりに
音と色を考えてみる
オーケストラの響きが、人の声に聞こえるとき
第2日
オーケストラに未来はあるか
オーケストラはどこへ行く?
音楽とは何か?に向き合うことについて
軍事制度としてのオーケストラ
西洋の時間 日本の時間
雅楽にオーケストラの未来を見る?
山田和樹の見た海外のオーケストラ
指揮者とオーケストラの微妙な関係
オーケストラは、社会の縮図?
山田和樹、日本のオーケストラを語る
山田和樹とスイス・ロマンド管弦楽団
オーケストラの感動率とヘタウマの微妙な関係?
うまいオーケストラ ヘタなオーケストラ
感動する演奏とは?という深〜い話
演奏会の空気が重すぎる?
エンタテインメントとしてのオーケストラ
歴史から読み解く、オーケストラ文化
権力としてのオーケストラ
指揮者は、海賊船の船長?
バロックという浪費の時代とフランス革命の功罪
革命期の混乱と、貴族的価値観の喪失
オーケストラは世紀の楽器?
日本のオーケストラは、日本の文化になったのか?
クラシック音楽は、いつからエラくなったのか?
山田和樹、怒りの大学生時代を語る
西洋人のハーモニーと日本人のハーモニー
クラシック音楽がガラパゴス化する日
参加者からの質問 対談の終わりに
第3日
プロか? アマか? 生き残るのはどっちだ?
キャッシュレス時代とクラシック音楽
文化としてのクラシック音楽を守るのは、誰だ?
プロフェッショナルとアマチュアリズムの違いを考える
天才がいっぱい? 合唱団がいっぱい?
佐村河内守『交響曲第一番』に、もういちど向き合ってみる
「佐村河内事件」は日本クラシック業界のタブーか?
作曲家たちと反宗教の深〜い闇?
バッハは革命家だった?
アマチュアがプロよりも「生き残れる」方法?
オーケストラは「公共財」なのか?
音楽をやって生きていくということ
AI時代のプロとアマチュアは、どうなる?
加速するAIを止められるか?
ドイツ精神と国民性について
ドイツ絶対音楽とプロ&アマチュアの誕生
ふたたび「プロとアマチュア」を考える
「本業」と「道楽」の時代よ、ふたたび!
山田と浦久の凸凹コンビ南の島に行く?
参加者からの質問1 プロらしさとは何か?
参加者からの質問2 ふたつのドイツについて
ふたつのドイツ
オーケストラの気質について
第4日
理想のオーケストラとは?
いきなりシリアスな組織論?
社会の縮図としてのオーケストラ
理想のオーケストラというテーマについて
ストレスが芸術を育むということ
クレモナの名器と樹木のストレス
プロとアマチュア 音楽の理想はどこにある?
音楽に命をかけるということ
芸術家に明日があってはいけない
指揮者、山田和樹の原点
「最低のオーケストラ」とは?
指揮者は、なぜ「マエストロ」と呼ばれるのか?
オーケストラと「家族」になる
あえて、みんなを「怒らせる」
オーケストラにストレスをかける方法とは?
「余白を残す」ということ
理想の観客とは?
観客が演奏に参加するということ
演奏者も客席とコンタクトしたい!
観客の存在があるから、音楽ができる
指揮者は演奏事故にどう向き合うのか?
次回のテーマは「資本主義とオーケストラ」に決定?
オーケストラ・モデルの視点をずらしてみる
オーケストラという「システム」
特別編
コロナ後の文化・芸術 凸凹論
ふたりの出会いのことなど、やや長いまえおき
問題はコロナ後なのか? それともコロナ前なのか?
劇場が消えてなくなる日
音楽文化は「不要不急」なのか?
コロナ時代の文化はどうあるべきか?
なぜ、いま文化が必要なのか?という問いに向き合う
「文化」の意味を、あらためて考えてみる
「芸術」は日本語ではない?
日本語ではない翻訳語たち
人間がアートだ!
芸術家は職業なのか?
芸術ははたして公共財なのか?
アートとしての芸術と、文化としての芸術
自然は人間より偉いのか? 人間が支配すべきものか?
「芸術」は「アート」の訳語ではない?
「アートとしての芸術」とは?
「文化としての芸術」とは?
西洋文化を知ることは、日本文化を知ることでもある
マスク社会は音楽を殺す?
山田和樹が語る「文化」と「芸術」とは?
おわりに(浦久俊彦)
■前書きなど
はじめに(山田和樹)
この本には、私と浦久俊彦さんとの4回にわたる東京・代官山での対談と、朝日カルチャーセンター主催のトークセッションの内容が収められています。
そもそも、この対談は私のほうから提案したものでした。浦久さんの著書『138億年の音楽史』に尋常ではない感銘を受けた私は、なんとか浦久さんとお会いする縁をたぐり寄せ、少しでも多く浦久さんのお話を聞いていたいと強く思うようになりました。しかしながら、日本滞在中は仕事に忙殺されてしまうことが多く、浦久さんとの時間を思いきって確保するには、公開対談を開催するのがいちばん良いのではないかと思い至り、浦久さんにご提案したのでした。
そのため、この本を読み始めるとすぐにわかるように、いちおう「対談」という形式にはなっているものの、じっさいには私が聞き役となって浦久さんの圧倒的な教養に裏打ちされた多岐にわたるお話をうかがっているという内容になっています。
なるべくじっさいの対談の雰囲気がそのまま伝わればと思い、編集に当たっては、その場のライヴならではのやりとりをできるだけ残すようにしています。
われながら、プロフェッショナルな音楽家なのにこんなことも知らないのかと呆れる部分もあったりするのですが、知らないことを知らないという勇気こそ、浦久さんに教えていただいた大切なことです。
4回目の対談は2020年2月におこなわれましたが、ちょうどコロナの忍び寄る足音が聞こえてくるかどうかという頃でした。ですから、対談の中身としては、コロナ禍の状況を前提にしているわけではまったくないのですが、読み返してみると、コロナ禍だからこそより生きてくる内容になっていることに驚かされました。平時であるか非常時であるかを超えて、普遍的な音楽談義ができたことを心からうれしく思っています。
「オーケストラに未来はあるか?」という問いに対し、冗談半分に「ない!」と即答するところからその日の対談が始まっていたりしますが、ただただ謙虚になって日本の音楽界、文化全般にわたって今一度見つめ直して考えてみたいという素直な気持ちが底辺にあります。もちろん、この本の中で大きな結論に至ることもなく、多くの問いは今後も考え続けていくべきものです。その考え続けていくときに、なるべく多くの方と一緒に考えていきたい、議論を深めていきたいという想いがこの本の出版というかたちに結実することになりました。
この本を改めて眺めている今、浦久さんの「みんなで考えていこう」という姿勢こそが文化の根本にあるべきなのだろうと強く思っているところです。
この本をとおして、さまざまなヒントを秘めている「音楽」に、ひとりでも多くの方とともに向き合っていければと思います。
■著者プロフィール
浦久 俊彦(ウラヒサ トシヒコ)(著)
1961年生まれ。文筆家・文化芸術プロデューサー。一般財団法人欧州日本藝術財団代表理事。代官山未来音楽塾塾頭。サラマンカホール音楽監督。フランスを拠点に作曲、音楽研究活動に携わったのち帰国。三井住友海上しらかわホールのエグゼクティブ・ディレクターを経て、現在、浦久俊彦事務所代表。多彩なアーティストのオリジナル企画を手がけるほか、文化芸術のナビゲーターとしても全国で活躍している。著書に『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』『138億年の音楽史』『ベートーヴェンと日本人』など。2021年、サラマンカホール音楽監督としての企画で、サントリー芸術財団第20回佐治敬三賞を受賞した。
山田 和樹(ヤマダ カズキ)(著)
1979年生まれ。指揮者。東京藝術大学音楽学部指揮科卒業。指揮法を小林研一郎、松尾葉子に師事。2009年、第51回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。2016/17シーズンから、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、2018/19シーズンからバーミンガム市交響楽団の首席客演指揮者に就任。2012年から2017年までスイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者を務めた。日本では、日本フィルハーモニー交響楽団正指揮者、読売日本交響楽団首席客演指揮者、東京混声合唱団音楽監督兼理事長、学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督としても活動している。
◆参照元 版元ドットコム
◆登録番号 PTB0235
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